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センスのよいオシャレな街
江南(カンナム)とよくいうが,漢江(ハンガン)の南側という意味である。1988年のソウルオリンピ
ックの少し前から急速に発展した地域で,現在は高層アパートやハイセンスなショッピング街などがある。江北(本来のソウル都心)に比べ,住宅費も高く,韓流スターの多くはこの界隈に住むらしい。江南で最も著名な街・押鴎亭洞(アプクジョンドン)に行ってみた。どちらかというと夜になるにつれて賑やかになる街なので,午前中に行っても人はまばらで,あまり活気のない街ではある。
地下鉄押鴎亭駅は押鴎亭洞からはだいぶん西に位置し,本来の押鴎亭洞に行くには駅か
ら1kmほど東に進まなければならない(地下鉄構内の地図でみると,上(東)方向が押鴎
亭洞。左(北)方向には現代(ヒュンダイ)アパートが立ち並び,アパートのさらに北側には漢江が流れている。)。押鴎亭洞はセンスのよいオシャレな街として有名だが,そこにたどり着くまではソウルの普
通の街並みが続く。裏通りを歩くと,和食の店があったり,薬屋があったりと,何の変哲もない街である。本当にこの先にセンスのよい街があるのだろうかと思うが,まだ先は長い。暑い8月の炎天下を歩くのは疲れるが,タクシーに乗るほどの距離でもないし,ウォッチングが目的なのでタクシーに乗ってしまったら元も公もない。
このへんは日本食の店がわりと多いが,値段は?というと思ったより安い。概して外国で食べる日本食はまずくて高い!味こそ実際に食べてみなとわからないが,ショーウィンドウに提示されている値段は日本の3分の2ほどか(写真1番目)。世界的円安,とくにウォンに対してこの2年くらいで30%も円安が進み,韓国の物価上昇分を含めると,今ソウルの物価は東京などと変わらなくなってしまった。それを考えるとやはり安い。かといって外国で日本食は勘弁してほしい。昔,パリで食べた和定食とロサンゼルスで食べた麺類のまずさは忘れられないので,それ以来外国で日本食を食べることはなくなったし,食べたくはない。外国に行って何日も日本食を食べなくても,日本食が恋しいなどとは思わなくなったので,たぶんどこの国でも暮らせると思う。
さて,まだ本当の押鴎亭洞の手前であるが,それでも少しはシャレた店もあることはある(写真2〜3番目)。しかし,まだ若い人になじむような店構えではない。オープンカフェも午前中ということもあって閑古鳥に近く,開店休業状態の店が続く。中にはボロボロのビルに入っている店もあるが(写真4番目),新しい街・江南にもこのような築30〜40年経つような老朽化したビルもあるものだと感心してしまう。とてもハイセンスな街にはみえないが,とにかく押鴎亭洞は近い。それにしても午前中だというのに,気温はうなぎのぼりで上昇し,すでに30℃に近い。が,大陸の韓国だけにこのような都心でも日陰はひんやりしてしのぎやすい。日本の夏とはまったく異なる点である。だから夏の訪問でも苦にならないのは助かる。
ようやく押鴎亭洞に入ってきた。押鴎亭洞は地下鉄網が整っているソウルでたまたま地下鉄が中心部を通っていない地域なので,少し不便である。ここに買い物に来るような人たちは車だろうから,地下鉄は関係ないのだろう。街の雰囲気は東京でいえば原宿と青山の中間くらいであろうか。車の往来は多いが道路が広いのでゆったり感があるのは,東京の中心部と異なる。歩道が異常に広く,駐車場かと思うほどで,車が何台も駐車していた(写真1番目・・・レンガの部分が歩道)。北側の漢江との間にはアパート群があり,東に歩いていくと現代百貨店がある(写真2番目)。財閥・現代グループの小売部門である。場所柄,高級品の割合が高く,江南の奥様方が買い物をするデパートのようである。
さて,表通り沿いはセンスのいい店がわりと多いが,高級店オンリーという感じではない。庶民的な店とハイセンスな店が同居する地域である。ただし,この地域の面積はかなり広く,わりあい狭いソウルの中にあっても東京のような窮屈さは感じない。高層ビルはあまりなく,中層のビルが中心なのでゆったり感があるのだろう。日本同様,ドミノ・ピザがあったり(写真3番目),フィットネスクラブがあったり(写真4番目・・・ヨガはハングルにないのだろうか?)して半ば庶民的な街である。