基本紹介編集履歴
1/4
映画「世界の中心で愛を叫ぶ」のロケ地としてキングスキャニオンは有名になった。
広々とした大地にぽつんと一つという地球の中心を象徴する単純な造形としてはウルル(エアーズロック)がふさわしい。
しかし、先住民アボリジニの聖地だから撮影許可が下りなかったと思われる。
自分もこのブログに載せていてなんだが、聖地の撮影および公開については、望まれていない行為である。まして営利目的なら相応の制限がかかる。
そこで、その近くでそれらしい所として脚光を浴びたのがここである。
なるほどここも、広々とした大地の裂け目とも、突起物とも言えるところだ。
そのキングスキャニオンはワタルカ国立公園の中にある。
名前は英語だが、「ワタルカ」から分かるように、ここも本来は先住民の聖地である。
なぜ聖地なのか。
目立つところだから。
それ以上に、水の乏しい沙漠地帯で、水の貯まるところは貴重だからである。
ウルルにしてもカタ・ジュタにしても大きな岩のかたまりである。地表に表れているのはその数分の一で本体はもっと大きい。雨が降り、大部分は地表に吸収されてしまうが、こういった岩石帯は水がしみこまず、くぼみがあれば貯まって池になる。
これは、先住民が大切に使用しただけではなく、現在でも各所において水源ダムとして利用されている。
例えば、波がうねっているような大岩『ウェーブロック』。この観光地として有名な所の、岩の上部に上がるとよくわかる。
前置きがとても長くなった。
キングスキャニオンへは、アリススプリングから入るのが一般的で、自分のようにエアーズロック空港から入ってもよい。
どちらから入ったとしても、かなり遠い。
荒野(広野)に舗装道路が一本、250㌔余りを走る。
どこまでも続く景色の中を単調な運転が続く。
ま、こんな雰囲気に浸りたいがためにこんな所に来ているのだから文句は言えない。
それでも時々は起伏があり、雨季に川になるところの通過は気をつかう。
キングクリークステーションというキャンプ場テントで宿泊する。
食事は持込んで自炊してもよし、管理棟の食堂を利用してもよい。
そこから、キングスキャニオンへはなお40㌔以上離れている。
近づくにつれ右側に段丘状の山塊が現れる。
この段丘というか、万里の長城の崩れたようなのは、この地の至る所で見られる。
段丘の端は崖になっている。その段丘を侵食して流れる川と渓谷がある。
規模が大きければ、渓谷ではなく峡谷になる。
その入り口に回り込むと、正面に見事な崖が聳えている。立派な駐車場があるから、観光地として流行っている
般的なコースは長短、2つある。
長い方は、まず峡谷の右岸(右崖?)にあがり、上流(?)へ尾根部分を歩く。
その岩の造形から「ロストシティLost City」という名所を抜けていく。
途中で峡谷へ下りて流れ(?)を渡る。
そこで寄り道をする。
涸れ沢だが一カ所、水のたまったところがあり、「エデンの園Garden of Eden」と呼ばれている。
戻って、再び峡谷の上にあがり、今度は左岸(左崖上)を歩きながら徐々に下っていく。
そして、最初の地点に戻る、周回コース。3~4時間。
もう一つの短いほうは、峡谷の沢をつめていくもので、流れは涸れている。
水分があるから樹木やブッシュが生えている。
峡谷の上部の断崖壁を眺望する人工展望台が目的地で最終地点、という往復コース。 1時間。
カタ・ジュタでもそうだったが、時間さえ許せば、長いコースが絶対にいい。
最初こそ、崖上に上がるためにちょっとした登山になる。上がるにつれこの峡谷の大きさがわかる。
遠くへ展望が広がり、駐車場が眼下に小さく見える。
赤茶けた線状の岩地層が頑丈な壁を造っている。
所々に、風化して崩れている部分もある。
立ちはだかる岩塊の間を縫うようにして進んでいく。
古代都市の遺跡のような「ロストシティ」の真ん中で、ツァー客にガイドが説明している
「樹木やブッシュに手を触れてはいけない」
こんな所でも繁茂しているのは、樹幹や葉を食べられないように毒があるからだ。
そこを過ぎると、峡谷の核心部になる。
峡谷の成立が風雨による浸食ではなく、とんでもない力で分けられた、としか思えない断崖壁が見えてくる
それまでの岩壁は線状の地層だったからなおさらである。
その上部はぽっこりとお椀をふせた小山がぽこぽこ。
小規模なバングルバングルか。
これだこれ、世界チューだ。
ロケ地はどれか。
いくつもあるから、それらしいのを探す。
これが危険極まりない。
というのは、足場間には隙間や亀裂が走っているからである。
鉄橋や鉄梯子などそれらしく対処はしてあるが、足を踏み外したら大変だ。
また、峡谷をのぞき込みたくなるのも心情。
恐る恐る端っこに行き、後ずさる。
移動して、そこを横から見たらぞっとした
端岩の下が、えぐれていた。
上から見た「エデンの園」。
確かにプールができている。
岸辺に人影がある。
人影といえば、対岸を歩いている人が気になる。
彼らの乗っている岩場の下がこちらには分かる。
おそらく、お互い様なのだろう。
エデンの園に向かう。
今は、流れがないが雨季はどうなるのだろう。
鉄橋を渡る。
渡った左岸には下におりる道がある。
それまで、太陽の光に照らされていたので、日陰はありがたい。
エデンの園は、峡谷の屈曲部にあたり、溜まった水は淀んでいる。
ツァー客がガイドの指示の後、瞑想に耽っていた。
上を見上げると、人が粒で見える。
左岸崖上も荒涼とした道が続く。
生き物がいた。古代ローマのコロッセウム風、広場があるそこから別尾根(崖)に移っていくと、懸崖が現れた。眺めを惜しみつつ、ここから長い下りになり、駐車場に戻った。
翌日もキングスキャニオンへ寄る。
天気は今日も晴天。
季節は冬から春なのに、常夏。
雨季と乾季だけなのだろう。
短い方のコースは、駐車場から平坦な道を歩き、峡谷に入る。
上写真の右下から、緑の川の中を歩く。
雨季には川になる沢の樹木の間をつめていく。
沙漠のような気候だが、樹木やブッシュが結構、生えている。
沢で見られる丸く削られた岩石を踏み越えていく。
最後に、階段を上がると展望台である。
断崖は下から見上げても圧倒される。
帰りは同じ道を戻る。1時間もかからない往復コース。
その後、昨日のコースを逆走して懸崖まで行った。
強い印象の残った場所だった。
ノーザンテリトリーの国立公園を巡る旅。
ウルルとカタ・ジュタ、ワタルカは広大な荒野に点在する突起物。
お互いの距離がとても遠い。
レンタカーでの移動はとても辛いものがある。
でも、ツァーだともっととんでもない強行軍になるだろう。
無理をしての4泊5日。
カーティンスプリングで2泊を基点にワタルカとウルルで1泊ずつ。
カーティンスプリングではいつでも見えたのがマウントコナー。
ここは貴重なガソリンスタンドであり、なんでもありの中継点。
宿泊でも何でも受け入れる。
移動の途中、近くの丘から見たマウントコナー。
裾野がとんでもなく広がっている。
そして、ぐーんと延びて走る道路。