基本紹介編集履歴
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私のアジア映画好きには二本の柱がある。一本はアクション系。もう一本はまったりと懐かしさを感じさせる癒し系。アクション系はもともとはブルース・リーの映画に端を発する。その後はジャッキー・チェン、そしてノワール物も加わり、香港映画が中心であった。癒し系は最初に感動したのが台湾のワン・トン監督の『海をみつめる日』だった。そしてその後、ホウ・シャオシェン監督の『恋恋風塵』で見事にハマる。偶然にも、どちらも九份が舞台となっていた。いつからか、九份に行きたいと思い始めるが、なかなか実現しない。4月に『風を聴く〜台湾・九份物語』という九份のドキュメンタリー映画を観て、ますますその思いは強くなった。今回台北旅行の日程を少し多めに取ったのは、他でもない九份に行くためだった。冒頭の写真は「阿妹茶酒館」から臨んだ基隆湾。この風景を、ずっと頭の中に描いてきた。今日、やっとそれが立体化した。やはりここに寄らないわけにはいかない。基山街をずっと進み、展望が開けたところに現れる「九份茶坊」。百年の歴史がある建物を利用して作られた茶坊。一歩足を踏み入れると、時間が止まったような錯覚さえ感じられる。メニューを渡され、そのお値段の良さでちょっと現実に引き戻されるのだが(笑)。後日、台北の某茶師に、九份に行ったことを話し茶坊のお値段のことに触れたら「次回はオレの茶葉を持参していけ。持ち込みOKだから。」と言われた。(えっ、そうだったんですか!?)いや、九份茶坊のお茶もとても美味しかったんだよね。東方美人を頼んだんだけど。多分、一人だったのが損だったんだな。何人かで一つのお茶をシェアすれば高いということは感じなかったと思う。茶器も全てオリジナル。使いやすくてカワイイ。購入もできるが、やっぱりいいお値段・・・。とっても居心地がよかったのでまーったりと過ごし、お昼前に店を出て、また別の道でぐるりと回ってみる。メインストリートをちょっとはずれると、人気がなくなり、猫や犬とお友だちになれる。なーんか、いいよね。前日にC小姐から教えてもらった九份名物、芋圓と肉圓を軽いランチがわりにとってからこれまたお約束の「阿妹茶酒館」に入る。何と言っても『悲情城市』のロケ地。はずすわけにはいかない。今回はさすがに功夫茶はオーダーせず、阿里山烏龍茶を一人分で頼んだ。外の景色を楽しみ、風を聴き、九份を五感で感じる。そろそろお別れの時間だ。午後3時ごろには台北に戻り、C小姐がホテルに迎えに来てくれるのを待たなくてはいけない。湯婆婆には会えなかったが、どこかから急にカオナシが出てきそうな雰囲気はあるなあ。そんなことを思いながら、バス停に向かった。